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美容サロンの離職率が高い原因

①拘束時間が長く休憩時間が不規則
美容業界ではお客様のニーズや流行に合わせて従業員1人1人が日々技術を磨く必要があります。技術を磨く時間は、接客の終わった後の時間や休日などの勤務時間外の自分の時間を、技術力アップの勉強のために使っているというケースが多拘束時間は長く、土日出勤は当たり前で勤務形態も不規則なのが実情です。立ち仕事であり、お客様が途切れなくやってくると昼食を摂る時間がないという美容師も多く、業界の華やかさに憧れて入社しても、体力的に厳しくて辞めてしまう方が多いのです。
女性の場合は特に結婚や出産を機にライフスタイルが大きく変化するため、長く働けるほどのゆとりを感じられなくなってしまうようです。
②専門性に対して給与が低い
生活資金を得ることは、働くことの大切な目的ともいえます。だからこそ、従業員が給与や福利厚生に不満を抱えてしまうと、離職率の増加につながりかねません。例えば、「年次が上がってもほとんど昇給しない」「住宅手当や家族手当がない」「残業代が出ない」といった声が、不満として挙がることがあります。こうした背景から、定着率を伸ばすために、まず待遇の改善から着手する企業も多いです。
③体調面・精神面のストレスが多い

美容業界の仕事は、立ったままの時間が長かったり、長時間集中し続ける必要があったりと、体力的にきつい作業が多いです。薬剤による肌荒れに悩む人や、十分な休息や食事を取れないことによって体調を崩してしまう人もいます。
中にはヘルニアや腱鞘炎を発症して仕事を続けられなくなってしまうケースもあります。
また、サロン内での人間関係や客との関係性が精神的なストレスとなってしまい、仕事を辞める決断をする人もいます。
④福利厚生が整っていない
法人の場合は社会保険への加入が原則として義務付けられていますが、個人経営のサロンは社会保険に加入する義務はありません。
中には、健康保険や厚生年金がなく、自分で国民健康保険や国民年金に加入しなければならない職場もあります。このような職場では、長く働き続けることが難しいと感じる人が多いでしょう。
離職率を下げて、スタッフの定着率を上げる方法
①給与・福利厚生の充実とワーク・ライフ・バランスの支援

社内で待遇に関する不満が挙がっている場合は、給与・福利厚生の改善を図りましょう。給与に関しては、成果に応じて支給されるインセンティブ・報奨金を導入するなど、モチベーションを維持するための施策も有効です。福利厚生に関しては、各種手当や退職金、自己啓発の支援金などを導入してみるのもよいでしょう。
また「残業が多すぎる」「休みが少ない」といった不満は、定着率を下げる大きな原因になってしまいます。ワーク・ライフ・バランスを支援する具体的な手法としては、「残業時間の管理・削減」「有休取得の励行」はもちろんのこと、「産休・育休を取得しやすい風土を作る」「時間単位での有休取得を可能にする」「在宅勤務やフレックスタイム制度を設ける」といった取り組みが効果的です。
②休憩時間の確保や健康面のサポートを行う
予約を優先して休憩時間を後回しにする方法では、十分な休憩時間を確保することができません。
短時間で簡単に食べられる食事で済ませるような食生活も、無理がたたって体調を崩してしまう要因になります。サロンの経営者は、決まった時間に休憩時間を確保することや十分な休日が取れるように配慮するなど、従業員の健康をサポートする意識を持ちましょう。
③人間関係を良くなる仕組みを作る
社内の人間関係が良好で、「居心地が良い」と感じる職場であれば定着率の向上も期待できます。
美容業界では少人数の従業員で店を切り盛りするケースが多いです。限られた人数の中で人間関係がぎくしゃくしてしまうと、仕事を続けるのは難しいといえるでしょう。
また、お客様との間の人間関係に悩む人もいます。こうした問題を解決するためには、日ごろからコミュニケーションを活発にすることが大切です。
お客様の情報を従業員間で共有することができれば、互いに助け合って仕事がスムーズに進むほか、よりよい接客をすることにもつながります。コミュニケーションの活発化によって、「サロンをどういう風に育てていきたいか」「どのようなサービスを充実させたいか」といったサロン経営に関する前向きな意見が出るようになり、生産性の高い職場になることも期待できるでしょう。
④スタッフのモチベーションが上がる給与・評価制度をつくる
最低賃金を遵守した上で各種手当・福利厚生もしっかりとしておくことがおすすめです。離職率の低いサロンは新規のお客さまにも歩合をつけていたり、交通費だけではなく昼食代や家賃補助をつけているサロンも増えてきています。
また優秀なスタッフを確保するにはスタッフのモチベーションが上がるような評価制度も欠かせません。オーナーの気分や忖度・感覚で評価するのはなく、技術テストや評価シートを用いて公平に評価、管理をしましょう。また、オーナーが自らスタッフの評価や給与が上がるようにサポートすることが大切です。そのためにも、業務を自分の頭で考え行動できるように行動目標を設定しながら教育していきましょう。
従業員が定着・活躍できる組織を作ろう

従業員が定着・活躍できる組織を作るために、自社の従業員の特徴や強みをしっかりと把握し、それぞれがやりがいを持って仕事を行えるよう、人員配置や教育、社内制度を通じた支援を行いましょう。
