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自宅サロンで起こり得るトラブル
店舗型のサロンに限らず、自宅サロンでもさまざまなトラブルが考えられます。一例としていくつかのトラブルを紹介します。トラブルの程度によっては多額の賠償金などが必要になる場合もあるため、注意が必要です。

施術中に誤ってお客様に怪我をさせてしまった
まつ毛サロンやエステサロン、脱毛サロンなど直接お客様に触れる施術の場合、その施術によってお客様に怪我をさせてしまう場合もあります。その場合、お客様の通院や治療費の支払いが必要になることがあります。
例)
・まつ毛パーマを施術している際、誤ってお客様の目に薬液が入ってしまった。
・エステで使用したクリームでお客様の肌に湿疹ができてしまった。
・施術をきっかけにもともとあったアトピー性皮膚炎が再発してしまった。
・光脱毛によって肌に火傷をおってしまった。
サロン内でお客様が怪我をしてしまった
サロン側の不備に起因した怪我の場合、通院や治療にかかる費用の支払いが必要になるケースもあります。
例)
・サロンの床にこぼれていたオイルでお客様が転倒し、怪我をしてしまった。
・サロンの設備にお客様がぶつかり、怪我をしてしまった。
・お客様が美容機器をつないでいるコードにつまずいて転倒し、足をひねってしまった。

お客様の衣類やカバンなどを汚してしまった
接客の際、あるいは施術中にお客様の洋服などを汚してしまったり、破いてしまったりした場合も、クリーニングや弁償をするための費用が必要になります。
例)
・お客様の洋服に飲み物をこぼしてしまいシミにしてしまった。
・お客様のコートをハンガーにかける際、あやまって破いてしまった。
・お客様からお預かりしていた指輪を紛失してしまった。
サロンで販売している商品でお客様の体に異常が生じてしまった
施術中のみならず、サロンで販売している商品を購入し使ったお客様の肌に異常があった場合にも通院や治療のための費用が必要になる事があります。
例)
・販売している美容液を使ったところ、肌がかぶれてしまった。
・購入した商品の箱を開けようとしたとき、治療が必要なほどの怪我をおってしまった。
保険に入ることのメリットは?
お客様の健康を守り、補償できる
美容サロンは多くの場合、直接お客様のお肌に触れたり、薬剤を使用したりします。施術のミスやお客様の肌質や状態によっては、健康に多大な影響を及ぼしてしまう可能性もゼロではありません。賠償問題に発展してしまった場合にも保険に入っていれば相応の対応をすることができます。お客様にとってもしかるべき補償が可能な保険に入っているサロンのほうが万が一のときに安心です。保険の加入は、結果的にサロンの信頼度をあげることにもつながるでしょう。

自分や従業員が安心して働ける
何らかのトラブルがあった場合の保証があるかないかでは、お客様はもちろん施術者である自分自身にとっても安心です。また、自宅サロンの場合、オーナーが1人で施術もこなしているという場合も多いかと思いますが、場合によっては従業員を雇っているケースもあるでしょう。保険は従業員が安心して働くための保証ともいえます。また、労災保険や雇用保険などは施術者自身が怪我をしてしまった場合などに必要となります。従業員を雇用する場合にはとても重要な保険となることを忘れてはいけません。

保険に入ることのデメリット
保険に加入することのデメリットは金銭的な負担があるということです。基本的には掛け捨ての場合が多く、損害がなければ毎月一定額の費用を支払うだけということになります。しかし万が一の備えは、安心を得るための費用とも言い換えることができます。もちろん、保険の支払いが経営を圧迫するようでは本末転倒です。自分のサロンに必要な保険かどうかをしっかり見極め、加入するようにしましょう。
保険の種類
施術事故補償
施術行為に起因する身体障害・財物損壊の法律上の賠償責任を補償する保険です。例えば、脱毛やフェイシャル、マッサージなどの施術中に起こる皮膚トラブルや身体的損害、ネイルやアイラッシュ施術の際の爪や目元施術のトラブルなど、サロン事業者が法律上の賠償責任を負担することになった場合に適用されます。
賠償事故補償(施設危険)
サロン側の管理不足などに起因して生じた身体障害・財物損壊の法律上の賠償責任を補償する保険です。例えばサロンの濡れた床で転倒させ怪我をさせてしまった、コーヒーなどの飲み物を誤ってお客様の服にこぼしてしまいクリーニングが必要になったなどの際に適用されます。
生産物賠償責任保険(PL保険)
サロンで販売した商品を使用したことに起因する身体障害・財物損壊の法律上の賠償責任を補償する保険です。例えば、販売したシャンプーで肌がかぶれてしまい通院が必要になったなどのケースです。また、販売した化粧品のケースが欠けていて手を切り病院で治療を受けた、など商品内容だけでなく商品パッケージの不備による怪我なども適用となります。特にエステサロンでは商材を販売することも多く、加入しておくと安心です。
受託者賠償責任保険
施術前に一時的に預かった衣類やカバン、ジュエリーなどを紛失してしまったり、汚してしまったりした場合に補償する保険です。クリーニングをすることで落ちる汚れの場合はクリーニング費用のみですむ場合もありますが、薬品が付着したシミが落ちないなどという場合には弁償が必要になることもあります。宝石や時計など、高級なものであればその分損害額が大きくなってしまうため注意が必要です。
火災保険・地震保険
エステサロンを運営する際には、火災や自然災害による損害に備えるため、適切な保険を選ぶことが重要です。特に自宅でサロンを開いている場合、個人向けの火災保険だけでは十分な補償が得られないことがあるため、事業者向けの火災保険や事業活動総合保険の加入を検討することが推奨されます。
賃貸の店舗を利用している場合には、契約に基づく修復義務を果たすために、建物の損害に対する「借家人賠償責任補償特約」が必要です。この特約により、火災や災害で建物に損害を与えた際の原状回復費用をカバーすることができます。
さらに、万が一の事態でサロンの運営が一時的に停止した場合に備えて、休業補償が含まれる事業活動総合保険に加入することで、経済的なリスクを軽減し、安心して事業を続けることができるでしょう。

休業補償
火災や自然災害によって被災した場合や、自分自身の病気や怪我などによって休業しなければならなくなった場合に補償される保険です。どのような状況のときに適用となるかは保険によって異なりますので内容を確認して検討しましょう。
保険を選ぶ際の注意点
加入する保険の種類によって保険料は異なります。1つの保険だけでは不十分な場合には複数の保険に加入したり、美容系のサロンのための総合的な補償をカバーしたサロン保険などもあります。もちろん、すべてをカバーしようとすると保険料は高くなります。自分のサロンにはどんな補償が必要か、どんなトラブルに対応できるかなど、しっかり比較検討することが大切です。
おすすめ保険3選
サロン様向け賠償責任保険
サロン向け賠償責任保険は、HOT PEPPER Beautyで知られるリクルートが提供する保険で、HOT PEPPER Beautyにサロンを掲載している方が対象となります。
この保険は3つのプランが用意されており、スタンダードプランでは、施術中のトラブルやサロン内での事故、お客様の荷物に対する補償に加え、弁護士相談費用もカバーされるのが特徴です。
HOT PEPPER Beautyに掲載を検討中のネイルサロンには、特におすすめの保険です。
みんなのサロンほけん
「みんなのサロンほけん」は、ビューティガレージが提供する賠償責任補償で、美容室やエステ、まつげエクステ、ネイルサロンなど幅広い業種を対象としています。加入にはビューティガレージの会員資格が必要です。
この保険は、施術中やサロン内での事故、販売商品に起因するトラブル、お客様の荷物をお預かりした際のトラブルなど、基本的な補償を網羅しているのが特徴です。
さらに、休業中の補償や地震補償もオプションで追加できるため、これ一つで総合的に備えたい方におすすめです。
手技セラピスト協会3>
手技セラピスト協会は、セラピストの技術や知識の向上を支援することを目的とした団体です。加入者は、サロン保険と同様の保障を受けることができるため、自宅サロンを開業する方に特に適しています。また、年会費が14,000円と比較的安価である点も魅力的です。
さらに、定期的にセラピスト向けのセミナーを開催しており、継続的に学びたい方にとっても有益な場となるでしょう。セラピストとしてのスキルアップを目指す方にとって、加入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
お客様に安心して来店いただき、また施術する側も安心して働き続けるために重要な役割を果たしてくれる保険。自宅サロンとはいえ軽んじず、検討してみてはいかがでしょうか。
