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ネイルサービス市場の状況は?
日本ネイリスト協会によるとネイルサービスの市場は2005年当初は427.5億円でしたが、2015年には1,655億円となり、10年の間に急成長しました。 その後、緩やかな増加をたどっていましたが、コロナ禍の影響を受けて2021年は1,374億円となっています。自分でネイルをおこなうセルフネイルが増える一方で、 ネイルサロンの価格競争で価格が下がり、改めてセルフネイルからネイルサロンを選ぶようになるという動きも見られるようです。

人気メニューはジェルネイルがダントツ
メニュー利用率では、ジェルネイルを選ぶ人が7割を超えダントツの人気です。次いでケアが25,8%、ポリッシュが18.3%、スカルプチュアが13.2%となっています。その時々のトレンドによって選ばれるメニューも変化するため一概には言えませんが、ジェルネイルはネイルサロンをオープンする上では必須メニューと言えるかもしれません。
ネイルサロンの開業に必要な資格は?
ネイリストになるために必ず必要な資格はありません。また、ネイルサロンを開業するために必要な資格もありません。ネイルの技術やサロンを開く場所、必要なネイル道具を揃えることができれば基本的には誰でも開業することができます。ネイリストに国家資格はあり ませんが、いくつかの民間の資格はあります。 日本ネイリスト検定試験センターが主催する 「JNECネイリスト技能検定」、 NPO法人日本ネイリスト協会が主催する 「JNAジェルネイル技能検定」などがメジャーな資格として挙げられます。多くの人は独学でというよりは、専門学校やスクールでネイルの技術や必要な知識を習得し、民間の資格を取得し、ネイルサロンへ就職するなどしてさらなる技術や経営のノウハウを学んでいるようです。

ネイルサロンの開業は保健所への届出は不要
美容師やまつ毛エクステサロンを開業する際には管轄の保健所への美容所登録が必須ですが、ネイルサロンの開業には届出は必要ありません。美容所登録をする場合には面積や床や壁の材質、換気設備などをはじめとしたさまざまな条件がありますが、ネイルサロンの場合そのような定めがないため、比較的自由に物件を借りたり自宅をサロンにするなどして開業することが可能です。
しかし、ネイルサロンを運営していく以上、衛生面への注意は必要不可欠です。換気は十分におこなえるか、道具を消毒し常に衛生的な環境であるかなど、自己責任においてしっかり管理していくことが大切です。ネイルサロンの増加を受けて、2010年には厚生労働省によって「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」も発表されてい ます。ネイルサロン業界に求められる衛生に関するガイドラインですので、店舗を借りる場合にも自宅サロンにする場合でも、ネイルサロンをオープンする際には内容をしっかり確認し、衛生管理の参考にすると良いでしょう。

ネイルサロン開業時に必要なもの
どんなネイルサロンにするのか、メニューをどうするのかによっても揃えるべきものは変わりますが、開業にあたり基本的に必要なものをまとめました。
施術に必要なもの
●ネイルジェルやマニキュア用品
・ジェル類(トップジェル、 ベースジェル、カラージェルなど)
・アート類(ストーンやシールなどのパーツ)
●施術道具
・ブラシ(筆)類
・ニッパー類
・ファイル類
・プッシャー類など
●リムーバー類
・ジェルリムーバー
・スカルプリムーバー (アセトン)
・ポリッシュリムーバー (除光液)
・キューティクルリムーバーなど
●コットンやワイプスポンジなど
●消毒用エタノール
●硬化用ライト
●ネイルマシン
●テーブル用のライト
●道具を入れる移動式ワゴン
●施術を行うテーブルやスツール
●お客様の椅子
●アームレスト
●ネイル集塵機
レジ周りで必要なもの
●レジシステム(ipad など)
●会計管理等のパソコン
●レシート、 領収書
●トレー
あったらより良いもの
また、ネイルサロンは長時間、お客様が椅子に座って過ごします。 サロンでより快適に過ご していただくためのものとして、たとえば以下のようなアイテムを揃えているサロンも多くあります。
●膝掛け
●お客さま用のスリッパ
●背当てクッション
●コーヒーや紅茶などのサービスドリンク
●ヒーリングミュージック
●アクセサリー置き
●荷物入れ
●おしぼり など

■ネイルサロンの開業時に必要な資金は?
では実際にネイルサロンの開業時に必要な資金はどれくらいなのでしょうか。自宅サロンで開業する場合、店舗で開業する場合のそれぞれについて解説します。
自宅サロンで開業する場合
自宅の一部をリフォームするなどして開業する自宅サロンは、賃料や保証金などもかからず、費用を最も抑えながら開業することができます。美容室などと違って美容所としての制約もないため、リフォームについてもそれほど大掛かりにする必要はありません。サロンのコンセプトやこだわりにもよりますが、家具などのインテリアを取り揃えつつ50万円~60万円程から開業準備ができると考えられます。
デメリットとしては自宅サロンの場合は住宅地が多く、人通りの多い店舗型と比べれば集客しにくいという点はあります。しかし、反対に住宅街ということをメリットと考え、近隣の人たちをターゲットにしたり、知る人ぞ知る隠れ家的なサロンとしてプロデュースしていくことも考えられます。経営のリスクを最小限にしながらチャレンジしてみたいという人には最適の選択肢といえるのではないでしょうか。

店舗型のサロンを開業する場合
店舗型のネイルサロンの場合、基本的には賃貸というケースが多いでしょう。毎月の家賃に加え、最初は仲介手数料や保証費用などを準備しなければなりません。たとえば20万円の賃料としても、半年分の保証金となればそれだけで120万円となり、まとまった資金が必要になります。居抜き物件を選べば内装費などのコストを抑えることも可能ですが、内装を1から変えるのであれば30万~40万ほどは必要です。さらに大型の設備や家具などの準備に20万~30万、ネイル道具などに15万~30万ほどかかったとして、200万円程度は初期費用として必要になると考えられます。
開業時にはネイルサロン賠償保険の加入の検討も
ネイルサロンを開業後、施術中に謝ってお客様の指先を傷つけてしまったり、お客様からお預かりしたものを失くしてしまったりといったトラブルがないとは言い切れません。補償の問題となれば経営が立ち行かなくなることもあります。そんな不安を解消してくれるのが施術中の怪我や紛失など万が一に備えたサロンオーナー向けの損害保険です。サロンのオーナーとなった時に、自分自身やスタッフ、お客様を守るための備えとして検討してみると良いでしょう。

まとめ
美容室やまつ毛エクステサロンとは異なり、国家資格がなくても、また美容所としての登録がなくてもオープンすることができるネイルサロンは、自分の店を持ちたいという人にとっては比較的気軽に独立できる分野といえます。しかし何の制約もないからこそ、自己責任が大きく問われるということでもあります。 接客をする以上、衛生面の管理を徹底し、事故のないよう気を配ることはとても大切です。施設や必要備品の準備とあわせて、安全にサロンをいかに運営していくかの準備も進めていくと安心してオープンを迎えられるのではないでしょうか。
