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鍼灸院開業に必要な資格は?
もうすでにご存知かと思いますが、自分自身が施術者となって鍼灸院を開業するには国家資格が必要です。鍼治療を行うのであれば「はり師」、灸治療を行うのであれば「きゅう師」という国家資格です。一般的には専門学校や鍼灸学科がある4年制大学、または3年制短大などで学んだ後、国家試験を受験します。「はり師」「きゅう師」のどちらか一方での開業も可能ですが、ほとんどの場合、両方の資格を取得し開業しています。
鍼灸師としての開業のスタイルは?

鍼灸師として開業するにはおもに3つのスタイルがあります。
①物件を借りて開業する
店舗用のテナント、あるいは開業が可能な賃貸マンションなど賃貸物件を借りて開業します。住居用の賃貸物件では開業できないケースが多いため、事前に必ず貸主や不動産会社に確認をするようにしましょう。賃貸で気になるのは入居にかかる保証金やリフォーム費用、大きな固定費となる賃貸料。鍼灸院の居抜き物件などを見つけられると大幅なリフォーム等の必要がなくなるのでコストを抑えることができます。
②自宅で開業する
自宅の一部を改装するなどして開業するケースもあります。戸建てではなく集合住宅の場合には開業できない場合もあるので注意します。また、自宅で開業する場合にも、保健所の定める鍼灸院としての構造設備基準の要件を満たさなければなりません。後から慌てないように、広さや設備など、開業できる環境をつくることができるのか事前に確認するようにしましょう。
③出張・訪問専門で開業する
鍼灸院の場合、必ずしも店を持たなくとも、出張で施術を行うという選択肢もあります。訪問先としてはお客様の自宅や老人ホームなどです。ただし、地域によって出張先の許可の判断が異なるケースもあるので確認するようにしましょう。
鍼灸院施術所の構造設備基準は?
鍼灸院開業にあたっては、各自治体の保健所が定める構造設備基準を守らなければなりません。事前に審査もあるので丁寧にルールを確認しておきましょう。

- 6.6平方メートル以上の専用の施術室があること
- 3.3平方メートル以上の待合室があること
- 施術室面積の7分の1以上に相当する部分を外気に開放し得ること。ただし、これに代わるべき適当な換気装置があるときはこの限りではない
- 施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有すること
室内を清潔に保ち、採光、照明および換気を十分にする、など衛生上必要な措置にも配慮する必要があります。
店の名前を決める
設備構造基準について確認できたら、自分の施術所の名前についても考えておきます。実は鍼灸院の場合、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」という法律があります。店の運営はもちろん、広告表現等もこの法律に基づくことが求められます。店名も一定のルールに沿って名前を決める必要があり、好き勝手になんでも自由につけていい、というわけではないので注意しましょう。
例えば医療法や薬事法にもからみますが、「○○クリニック」「○○医院」など病院や薬局と誤解させるような表現はできません。病院などと混同させないためには「鍼灸」を名称に加えるとわかりやすくなります。また、同じ意味合いで「科」という文字を入れることは出来ません。〇〇治療所、〇〇療院という表現も誤解を招くためそのままでは使用できませんが、「はり、きゅう」などの文字をあわせて明示していれば使用できます。また、整体など鍼灸師に認められていない行為を店名に含めることもできません。
「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」「医療法や薬事法」「柔道整復師法」など、さまざまな法律にも関わるのでしっかり確認をするようにしましょう。
認められない表現例
- 〇〇クリニック、○○医院、〇〇薬局
- 〇〇治療所、療院(ただし、はり、きゅうなどの文字を入れたものであればOK)
- 〇〇鍼灸接骨院(鍼灸院・接骨院と並記する場合はOK)
- はり科、きゅう科
- 鍼灸整体院など
鍼灸院開業に必要な設備

次に、いよいよ開業するにあたって必要な設備です。施術用のベッドや椅子などの基本的な設備のほか、タオルやカット面など日常的に欠かせない消耗品、施術器具や文房具類などをリストアップしています。すべてが必ず必要というものではなく、施術内容や好みによっても必要なものは変わりますが、参考にしてみてください。
施術設備・備品
- 施術ベッド
- 椅子
- ベッドサイド等に置くワゴン(器械卓子)
- 鍼皿
- 脱衣かご
- 患者着
- オートクレーブ(治療機器を滅菌する機器)
- 患者様用スリッパ
- 感染性廃棄物のためのゴミ箱
- フェイスタオル
- 大判タオル
- 枕カバー
- ベッドシーツ
- カット綿
- 消毒薬
消耗品はストック分も含めてある程度の量を確保するようにしましょう。シーツやタオルはクリーニング中に使う分も必要です。また、施術中にお客様の肌に直接触れる枕カバーやベッドシーツは使い捨てものがあると衛生管理の面でも安心です。タオルは大中小など、サイズを取り揃えておくと用途にわけて使えるため便利です。また、開業前に忘れずに検討しておきたいのはタオル等の洗濯についてです。自分で洗濯をするか、場合によっては提携できるクリーニング業者を見つけ、引き取りから納品まで一貫して任せるという方法もあります。患者数やどれだけのタオルを使用するかにもよりますが、開業してから慌てることのないように決めておくようにしましょう。
施術器具

【鍼用品】
- ディスポーザブル鍼
- 銀鍼
- ステンレス鍼
- てい鍼
- ローラー鍼
- 集毛鍼・梅花鍼
- 小児鍼
- パルス・低周波治療器
- ピンセット
【灸用品】

- 上質もぐさ
- 温灸用もぐさ
- 灸頭鍼用もぐさ
- 台座付き灸・紙筒灸
- 灸用線香
- 灸点紙
- ライター
- 灸点ペン
- 紫雲膏
【施術補助器具】
- 電子温灸器
- 遠赤外線治療器
施術器具や補助器具は一例です。必ずしもすべて必要というものではありません。自分の施術方法にあったものを揃えるようにしましょう。
その他備品
- 体温計
- 血圧計
- 経穴人形・経穴図・人体模型
管理ツール
- パソコン
- POSレジ
- カルテ
- ファイル、文房具類
今は現金以外にさまざまな決済方法があります。どの決済方法を取り入れるのかによって導入するレジシステムも変わります。
室内を快適にする設備
- 空気清浄機
- 消毒・ウィルス対策用品
- 音楽
接客・おもてなしにあると良い設備
- ウォーターサーバー
- コーヒーやお茶等のドリンク類
- おしぼり
「室内を快適にする設備」「接客・おもてなしにあると良い設備」については、必ずあるべきものではありません。ただ、お店のイメージをよくしたり他と差別化するという意味では検討の余地があると言えます。
まとめ
鍼灸院を開業するために準備すること、物をチェックリストでまとめてみました。施術に必要なものはあまり忘れることはないかもしれませんが、レジまわりに関わるものやカルテ類などつい失念してしまうものもあるかもしれません。今回ご紹介したものを参考に、自分なりのチェックリストをつくって確認してみましょう。また、すべてのものを新品で揃える必要はなく、場合によっては中古品やレンタル等で準備したほうがよいこともあります。かけられる予算を計算しながら、無駄なく無理なく準備するようにしたいものです。

