居抜き物件とは

「居抜き」とは、美容室や飲食店などのサービス業用の店舗や工場などの物件のうち、以前の店舗が使用していた設備や家具などを残したまま、店舗を譲渡したり賃貸することです。例えばレストランなどの飲食店の場合は、キッチンや調理用の設備、テーブルや椅子などの家具、壁などの内装や装飾などを残すことが考えられます。美容室においては、シャンプー台やセット面、壁や天井などの内装、椅子などが考えられます。

「居抜き物件」とは、簡単に言うと店舗を運営するために必要な設備が残っている物件です。

居抜き物件のメリット

居抜き物件のメリット❶「初期費用が少なくて済む」

まず、開業にかかる初期費用ですが、スケルトン物件ですと、パーティションや床・壁紙など、電気配線・排水設備、そのほか新しい設備や器具を揃えて、概ね約500万〜1000万は見る必要があります。

居抜き物件の費用については、たいてい「内装譲渡金」という内装部分の費用がかかりますが、これが0〜300万円と最も大きくなります。
そのほか足りない器具等の補充と内装のメンテナンスが必要となりますが、内装譲渡金と足し合わせても最大で500万円程度というところで、コスト面では基本的に居抜き物件が優位です。
ただし、賃料が割高になっているケースはあるようですので、しっかり情報収集しながら部件選びを行なっていくことが肝要です。

居抜き物件のメリット❷「工事期間が少なくて済む」

美容室を開業するために全ての設備を一から揃えるとなると、様々な業者との取引や打ち合わせが発生します。什器メーカー、内装会社など、複数の専門業者とスケジュールを合わせて打ち合わせを重ねるのは、相当な時間を要します。

一方で、居抜き物件の場合は設備が残されているので、スケルトン物件と比較すると取引や打ち合わせなどの時間を短縮することができます。
店舗内を工事している期間も店舗の賃料が発生するので、開業までの時間を短縮することはランニングコストをカットすることにつながります。

工事等が必要な部分が少ないので、必然的に短い準備期間で開業に向かうことができます

居抜き物件のメリット❸「リスクが少ない」

そのほかのメリットとしては、購入した時点で「前の借主が運営できる状態に整っている」という点でも、自前で準備して不具合が発生するリスクが少ない分、居抜き物件の方がリスクが抑えられるといえます。 このように居抜き物件を選択するメリットは複数存在します。特に初めてのサロン・美容室開業で準備に不慣れな人、資金面で余裕のない人、複数店舗を出す際などに開業準備をできるだけ削減したい人などにはおすすめです。

居抜き物件のデメリット

居抜き物件のデメリット❶「自由度が低い

居抜き物件は設備が残されているので、一から自分の思うような店舗づくりができません。

そのため、スケルトン物件と比べると自由度が低くなってしまいます。

既に店舗デザインのイメージがある場合、イメージに合う居抜き物件を見つけ出すのはあまり現実的ではありません。イメージが決まっている場合はスケルトン物件を探すことをおすすめします。

居抜き物件のデメリット❷「解体・廃棄・造作工事などの費用が発生する場合がある

居抜き物件で残された設備を全てそのまま使うことができればよいのですが、設備の一部が古く、新たに準備する必要がある場合や、設備がイメージと合わない場合などは、既存の設備を解体・廃棄する必要があります。解体・廃棄の費用は想定以上にかかってしまうケースもありますし、時間も要します。残っている設備がそのまま活用できるのかどうかを事前に確認しておきましょう。

注意すべき居抜き物件とは?

前のテナントが退去した理由を確認する

注意が必要なのは経営不振による退去です。経営不振になる要因としては様々なことが考えられますが、特に前のお店が悪いイメージを持たれていないかどうかは確認しておきましょう。「サービスが悪い」「技術が下手」など、前のお店に悪いイメージがついている場合、同じ場所で事業を行うにあたって、その悪いイメージを払拭するための多大な努力と、膨大な広告費がかかってしまうこともあります。また、立地的に集客困難だったことが原因で、前の店が経営不振に陥った可能性もあります。こういった場合は、物件が安いからといって契約してしまうのは危険です。経営不振の原因としてはその他にも、周囲の環境による外部要因もありえます。テナントを探す際に、テナント内の様子だけではなく、周囲の状況もよく見てみましょう。

そのまま使用できる設備と管理の所在の確認

居抜き物件のメリットは、前のテナントが使用していた設備をそのまま利用できることです。
居抜き物件を内覧すると、様々な設備が残されていると思いますが、その設備が全て利用できるのか、事前に確認しましょう。もしかしたら、内覧後に撤去する予定の設備も含まれているかもしれません。
居抜き物件を契約してから、利用する予定だった設備を撤去することが発覚すると、思わぬ出費に繋がります。
他にも残された設備に故障などの不備がないかも確認しておきましょう。

さらに、居抜き物件の賃貸契約をした後に、残された設備が故障した場合、誰が修理代などを出費するのかを確認しましょう。例えば、エアコンなどの空調設備に不具合が生じた場合、居抜き物件のオーナーが修理代を負担するのか、修理代を負担するのかを明確にしておくことで、トラブルを回避することができます。

とはいえ、居抜きの場合は店舗内の各種設備も中古となるため、それらがオープン後に壊れてしまうことも多々あります。

前述のエアコンだけでなく、ボイラー、シャンプー台などは、経年劣化など修理しても使用出来ない場合もあり、新しく購入する事になります。特にオープン直後に故障してしまうと経営を圧迫してしまうため、運転資金には十分に余裕をもっておくとよいでしょう。