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整体師とは?

「整体」とは指や手、ときには機器などを使いながら手技によって骨格の歪みを調整し、体の不調を整えたり緩和したりする技術をいいます。整体師は患者さんからヒヤリングした症状に応じて施術し、体の調子を整えていくのが仕事です。
「整体師」に国家資格はありません。ただし、業務に関係するいくつかの民間資格はあり、それらを技術の証明として就職や独立を目指す人も多くいます。カイロプラクティックやオステオパシー、リフレクソロジーなども整体のひとつです。
整体師と混同されることが多いのが「柔道整復師」や「あん摩マッサージ指圧師」ですが、これらは国家資格が必要という点で大きく異なります。ちなみに、「柔道整復師」や「あん摩マッサージ指圧師」のおこなう施術は保険適応されますが、整体師のおこなう施術には保険が適応されません。また、整体師は基本的に骨折や捻挫などの「治療」を目的とした施術はしません。あくまでも「身体の疲れや不調を緩和する」ことが仕事の職業です。
整体院数は右肩あがり

令和2年の厚生労働省衛生行政報告例によると、国家資格である鍼灸、柔道整復、あん摩指圧マッサージの施術所だけでカウントしても、全国で約14万店舗以上あるとされています。コンビニ店舗数が5万8000超という数字と比べても、施術所がどれだけ多いかが理解できるでしょう。冒頭に挙げた高齢化、健康志向の高まりのほか、パソコンやスマホなどデジタル機器を長時間使うことが日常になり、肩こりや腰痛、自律神経の乱れなどのいわゆる現代病といわれるような身体の不調を訴える人も増えています。そしてそれに伴い身体を整える整体院の数も増加傾向になっているようです。しかし、整体師へのニーズが増えているとはいえ、現時点において供給過多になっていることも否めません。整体院、整体師間での競争が激しくなっている状況もみうけられます。
整体師としての働き方
整体師としての働き方は大きくわけて2通りです。1つは整体院やリラクゼーションサロンなどに直接雇用されるパターン、そして2つ目は自分で開業するパターンです。整体院やリラクゼーションサロンで雇用される場合には、正社員をはじめ、アルバイト・パート、業務委託などの雇用形態があります。
<整体師としての主な勤め先>
・接骨院(整骨院)
・整体院(リラクゼーション、マッサージ、ボディケアなど)
・カイロプラクティック院
・スポーツジム
・介護、福祉施設(デイサービスなど)
接骨院、整体院、カイロプラクティック院などのほかに、近年ではスポーツジムや老人ホームなどの介護・福祉施設で活躍する整体師も増えています。
整体院に社員やアルバイトとして働く場合の平均年収

整体院で正社員として働く場合の平均年収はおよそ350万程度、月収でいうと30万円前後が相場といわれます。求人サイトで検索してみても、月収20万円〜25万円が一般的で、その他の業界と比べて一般的か、やや低いといった印象です。また、アルバイトで働く場合、経験や年代、働くエリアなどによっても差はありますが、1000円〜程度が基本のようです。ボーナス支給の有無は会社やお店によって異なります。しかし、業界的にボーナスが出ない場合も多いと言われているため、就職活動をする際には事前に確認するようにしましょう。
正社員の整体師として年収をあげたい、400万円以上にしたいという場合には、店長職などある程度責任のあるポジションになる必要があります。また、柔道整復師資格手当など、専門資格に対する手当てを設けている整体院やサロンもあります。整体師は特別な資格がなくてもなれる分、目指す人も多い職業です。そこから一歩、二歩抜きん出るために、より専門的な技術や技能を習得することで収入アップを目指すという方法もあるでしょう。
業務委託で働く場合
整体院やリラクゼーションサロンなどに業務委託で働く場合の給与形態は、時給や歩合制、あるいは時給と歩合制の組み合わせというケースが一般的です。具体的な例としては、施術60分あたり2500円〜(歩合率40%〜)+別途指名手当というお店や、最低保証時給(1000円〜1500円)を導入し、個人の月間売上の歩合(施術料金の40~50%)と比較し、いずれか高い方を給与とするお店もありました。経験の浅い人の場合は、いきなり施術を任せられたり固定客を掴めるといったことは少ないため、時給制や最低保証があったほうが安心でしょう。収入自体はそれほど多くなりませんが、自分の技術を向上させ、経験を積むための研修期間と捉えると良いのかもしれません。一方で経験や技術がある人の場合は、固定客をつかめば500〜600万円を稼ぐことも夢ではありません。整体師として業務委託で勤務する場合には、自分にあった給与形態を選べる整体院やサロンを探すことがポイントといえそうです。
整体師として独立・開業する場合の平均年収

開業した整体師の年収としては、300万円〜800万円の間が相場です。大きな開きがありますが、自分で独立開業する場合には給料は保証されていませんので一概には言えず、人によって年収もさまざまです。軌道にのれない場合には300万円以下となり、正社員として勤めるよりも年収が低くなるケースももちろんあります。一方で経営がうまくいき、年収が1000万円(月収80万以上)を超える整体師もいます。
たとえば一人当たりの患者さんの施術単価を5000円とし、毎日8人、月25日稼働とした場合、単純計算で100万円の売上となります。1年間で換算すれば1200万円となり、施術単価をあげて同じだけの客数をこなすことができれば、その分売上をあげることはできます。しかし、あくまでそれは売上の金額です。自分で独立開業した場合には家賃や水道光熱費、必要備品などの経費も自分で負担しなければなりません。それらを見越した上で、経営者として大きく稼ぎたいという場合には施術するスタッフを増やし、多店舗展開をするなど検討していきます。一方で、1人で経営・運営していきたいという人の場合には、自宅の一部を改装してサロンにしたり、固定客がつき月々の売上の予測がつくまではレンタルサロンを利用するなど、かかる費用を減らす工夫も重要でしょう。
まとめ
整体院やリラクゼーションサロンなどのニーズは高まっている傾向にあります。しかし、整体師は特別な資格が必要ない分、未経験からでも比較的なりやすい職業ということもあり、人より稼げるようになるにはそれなりの経験や技術、そして覚悟が必要といえそうです。正社員で雇われた場合、最初はそれほど高い給与は望めませんが、経験を積みながら店長など責任ある役職を目指し、着実にステップアップしていく道もあります。また、ある程度経験をつめば自分で独立開業し、軌道にのれば1000万円の収入を目指すことも夢ではありません。患者さんと向き合い、感謝されるやりがいのある整体師の仕事。正社員などを目指すか、独立開業を目指すか、自分の状況やタイミングにあわせて選択していきましょう。
