目次
ネイル産業の現状は?
まず、ネイル産業の市場規模をみてみましょう。NPO法人日本ネイリスト協会(JNA)が発刊している「ネイル白書2020」によると約17年ほど前の2005年のネイル産業の売上は約1,114億円でした。しかし2010年になると約2,033億円と、倍近くにまで急上昇。2018年には約2,296億円、そしてその後も緩やかにではありますが、右肩上がりを続けているといいます。メンズネイルサロンは女性向けのネイルサロンと比べるとまだまだ市場規模としては小さいですが、今後の展開によってはネイル産業を押し上げるほどの影響を及ぼす可能性もあるといわれています。つまり、ネイル業界でも注目の分野というわけです。
メンズネイルが注目を集める理由

リクルートの美容に関する調査研究をする機関「ホットペッパービューティーアカデミー」が2022年9月に、15~49歳の男性1,050人(全国)を対象に実施した調査によると、ネイルサロンあるいは自宅サロンでネイルをしたことがある男性は全体の13.5%いることがわかりました。また、コロナ禍で「自宅でネイルカラー・ネイルケアをする機会が増えた」と回答した男性が約2割おり、自宅で過ごす中で美容への意識が高まった男性が一定数いることが伺えます。ネイルをする理由としては割れや乾燥などの「爪のトラブルを防ぎたいから」「爪をキレイに見せたいから」「身だしなみとして必要だから」という回答が上位を占め、女性のように自分がおしゃれを楽しむためにというよりは、相手からどう見られるか、自分を整える身だしなみのひとつの手段としてネイルケアを選択している男性が多くいるようです。
メンズネイルサロンとは?

ネイルサロンと聞くと、装飾やデザインされた爪をイメージする人も多いと思いますが、メンズネイルはきらきらとした装飾というよりは爪の長さを整えたり、甘皮部分をキレイにしたりするなど、指先のケアを中心とした施術が主流となっています。爪を含む手や足のケアや、一部のサロンではいわゆるアートネイルというような色やデザインを入れるネイルもおこなわれています。とはいえ、派手なデザインというよりは黒などシンプルなデザインが人気のようです。メンズネイルサロンは東京など大都市を中心に増えており、とくに男性専用のネイルサロンは周りの目を気にせずケアをおこなえるため人気が高まっています。
メンズネイルサロンの施術内容
一般的なメンズネイルサロンの基本的な施術例は以下のとおりです。多くのメンズネイルサロンではハンドケアの他に、足、いわゆるフットケアの施術メニューも用意しています。
美容師資格が必要
美容師法では”美容師の免許を持たないものは美容を業として行うことは出来ない”と規定されています。美容師法での「美容」の定義とは、首から上の容姿を美しくすること。つまり、首から上のまつ毛エクステや眉毛エクステの施術者となるには、国家資格である美容師の資格を得ていることが条件となります。また、ヘアサロンと同様、施術者が2名以上在籍するサロンの場合、1名以上がそのサロンの衛生管理の責任者となる管理美容師の資格を取得している必要があるので注意が必要です
《ハンドケアの場合》
①爪切り
専用ニッパーで爪を希望の長さに切ります
②爪やすり
切った爪をやすりでキレイに整えます。
③甘皮やささくれなどの処理
爪の生え際やまわりにある甘皮は角質です。手を温めふやかしてから不要な角質やささくれなどを取り除きます。甘皮などの爪周りを処理することで見た目の印象がすっきりします。
③甘皮やささくれなどの処理
爪の生え際やまわりにある甘皮は角質です。手を温めふやかしてから不要な角質やささくれなどを取り除きます。甘皮などの爪周りを処理することで見た目の印象がすっきりします。
④表面のケア
爪の表面の凹凸を滑らかにし、縦筋を目立たなく調整します。
⑤ツヤ出し
最後に爪のツヤを出します。磨いてツヤを出したり、コーティングをしたりします。
《フットケアの場合》
①足の洗浄
フットバスに足を浸し、ふやかしつつ、消毒殺菌をおこないます。
②爪切り
専用ニッパーで足の爪を切ります。足の場合には巻き爪で悩んでいる人もいるため、巻き爪になりにくい爪の形など適した形に爪を切っていきます。
③爪やすり
手の場合と同様に切った爪をやすりでキレイに整えます。
④甘皮やささくれなどの処理
足の爪の場合にも甘皮などの角質やささくれなどを取り除きます。無理に行うと傷つけてしまうため、十分ふやかしてからおこなうようにします。
⑤マッサージ
オイルを足になじませ仕上げのマッサージをして血行をよくします。
一般的な価格帯としてはハンドコースで7000円程度からのところが多いようです。また、保湿マッサージを含めたものなどをオプションで用意するなど、サロンによってメニューはさまざまに異なります。また、メンズサロンで多いのはケアを中心としたサロンですが、男性向けのデザインの施術で人気を得ているサロンもあるなど、差別化も進んでいるようです。
メンズネイルサロンを開業するには

女性向けのネイルサロンと同様に、メンズネイルサロンの開業に特別な資格は必要ありません。ネイルやケアの知識、技術があれば誰でも開業することは可能です。また、路面店をオープンしたり、自宅サロンで開業したりなど、選択肢もさまざまにあります。ただし、メンズネイルサロンにする場合にはターゲットはもちろん男性になります。男性がネイルサロンに求めるニーズをしっかり把握することが重要です。
たとえば以下のような悩みがネイルサロンへ行くきっかけになったりするようです。
・営業活動などのビジネスシーンで好印象を与えたい
・年齢とともに爪や爪周りが汚くなってきたような気がする
・足の爪が深爪になったりと自分で適切に切るのが難しい
・かかとがひび割れている
・巻き爪になりいやすい
・爪を噛む癖をなおしたい
もちろん、おしゃれを楽しむためにネイルをする男性もいますが、現状は相手に清潔感や好印象を与えるためにケアをしたいという人が多いようです。そのあたりのニーズをしっかり見極め、対応できる技術や機器、メニューを取り入れる必要があるでしょう。
また一方で、まだまだ少ないからこそアートネイル、デザインネイルで差別化をするというのも1つの方法です。男性モデルや芸能人の影響もあり、爪のおしゃれを楽しむ男性も増えている一方で、それを叶えるネイルサロンが少ないという現状もあるようです。デザイン性などのネイルのクオリティーでコアなファンを掴むことができれば、メンズネイルサロンとして大きな強みとなるでしょう。
メンズネイルサロンを開業する際の注意点
女性がメンズネイルサロンを開業するという場合には、防犯に気を配ることも大切です。1人で開業する自宅サロンの場合などは特に、男性の顧客と1対1になることが多くなるため、あらかじめ身分証の提示を求める、家に防犯対策を施すなどの工夫をしておくと万が一に備えられて安心です。
まとめ
ハンドケアやフットケアなど爪のお手入れを中心に今後ますます人気が高まりそうなメンズネイル。今は20代から30代の若い男性が中心ですが、今後の状況によってはより幅広い世代からのニーズが高まっていく可能性もあります。まだそこまでの広がりがない今だからこそ、出店のチャンスとも言えるのかもしれません。ニーズをつかみ、差別化できるメンズネイルサロンの開業にぜひチャレンジしてみてください。
